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宝石の知識5 宝石鑑別書の内容

宝石の鑑別書とは?

 
宝石の鑑別書とは、ある特定の宝石が持つ客観的な特性を、
 
記した報告書のことです。 
 
「ダイヤモンドの鑑定書」(Grading Report)との決定的な違いは、
 
宝石に対する格付け(Grading)が一切なされていないという点です。
 
鑑別書は、宝石の価値に関する記述は一切無いということになります。
 
宝石の鑑別書には以下に記載の様々な項目がありますので、
 
ご説明いたします。
 

宝石鑑別書の内容

 
宝石の鑑別書は一般的に約15項目に渡って
 
各々の特性が記載されます。
 

鉱物名・素材名

 
鉱物名・素材名とは、その宝石の鉱物学上の名称が記載されます。
 
たとえば「ルビー」を鑑別してもらうと、「コランダム」
 
という結果で返ってきます。「天然+鉱物名」と
 
記載されている場合は、その宝石がカットと研磨以外の
 
人為的な操作を受けていないことを意味しています。
 
(例:天然コランダム)
 
また、何らかの処理が施されている場合は、
 
その内容が併記されることもあります。 
 
(例:色の改善を目的とした加熱が行われています)
 

宝石名

 
宝石名とは、ある特定の鉱物が加工され、
 
宝石として扱われるときの名称を指します。
 
コランダムの宝石名は「ルビー」や「サファイア」となります。
 
また、何らかの特殊効果を持つ場合は、その効果を示す名称が付随します。
 
(クリソベリル・キャッツアイ、スター・サファイアなど)
 
なお宝石の特殊効果に関しては宝石の特殊効果をご参照下さい。
 

透明度・色

 
透明度・色とは、その宝石が透明か不透明か、また色が付いている場合は
 
どういう色相に属しているかに関する記述です。
 
(透明緑色/青色・透明石など)
 

カット・形状

 
カット・形状とは、その宝石に施されたカッティングに関しての記述です。
 
(ラウンドブリリアントカット・プリンセスカット・カボションなど)
 
カットの種類に関しては宝石のカットをご参照下さい。
 

重量

 
重量とはその宝石の持つ重さのことです。
 
通常は精密な電子計測器で小数点以下3の位まで計測され、
 
単位はカラット(1カラットは約0.2g)で表されます。
 
重量を表す数字の後に「刻印」という表記がある場合は、
 
その数字が製品に刻印された名目上の重量であることを示しています。
 
(例:0.35ct 刻印)
 

寸法

 
寸法とは、その宝石の縦・横・深さをmmで表記したものです。
 
寸法は自動計測機器で小数点以下2の位まで計測されます。
 
(例:5.31×4.64×2.72mm)
 
「省略」と記載されている場合は、メインの宝石以外の寸法記載が
 
省略されたことを意味しています。
 
「測定不可」と記載されている場合は、宝石の枠止めなどの関係上、
 
計測できなかったことを示しています。
 

レポートナンバー

 
レポートナンバーとは、
 
その鑑別書に割り振られた固有のナンバーのことで、
 
鑑別機関のデータベースに記録・保存されます。
 
鑑別書が偽造されたものかどうかを知る際に、
 
必要となります。それ以外に宝石の外観写真が
 
添付されることもあります。
 

屈折率

 
屈折率とは、光が空気中から宝石に入る時に起きる屈折の度合いのことで、
 
宝石の種類によって固有の数値を持っています。
 
(ダイヤモンド2.418 など)
 

多色性

 
宝石が複屈折性(宝石の中に入った光が屈折して
 
一方向から出て行くのではなく、複数の方向に
 
分かれて出て行く現象)を持つとき、見る角度によって
 
宝石の色合いが違って見えることがあります。
 
こうした現象が観察されたとき、「多色性が認められる」
 
などと表記されます。
 

比重

 
比重とは、ある任意の体積の宝石と、その宝石と同体積の水の重量比率です。
 
比重の値は宝石によって一定です。
 
ただし、宝石が指輪などの製品に加工されている場合は
 
比重測定が出来ませんので、「セットのため測定不可」と記載されます。
 
(ダイヤモンド-3.52、エメラルド-2.7 など)
 

分光性

 
分光性とは、白色光線を赤から紫までの分光色に分類して示したものです。
 
宝石の吸収した色が吸収線という形で現れますが、
 
出現形式は宝石によって決まっています。
 
(例:クロムラインを認む)
 

拡大検査

 
拡大検査とは、宝石用の顕微鏡で宝石内部を拡大観察し、
 
内部に含まれる特徴的な含有物を記したものです。
 
(液膜包有物 など)
 

偏光性

 
偏光性とは宝石の持つ光の屈折特性のことです。
 
ある特定の宝石に光を当てたとき、
 
光が一方向から出てゆくことを「単屈折」、
 
複数に枝分かれして出てゆくことを「複屈折」と呼びます。
 
どちらの現象が発現するかは宝石によって一定で、
 
これを示したものが偏光性の項目になります。
 
(複屈折性 など)
 

蛍光性

 
蛍光性とは、宝石に紫外線を照射した時の発光現象のことです。
 
宝石などの物質に紫外線を当てると、
 
光のエネルギーと宝石内部の原子とが反応し、
 
人間の眼に見える蛍光色を示すことがあります。
 
この性質を蛍光性と呼びます。
 
(蛍光性を認む  など)
 

コメント

 
上記以外の特記事項がある場合はコメント欄に記載されます。
 

まとめ

 
宝石鑑別書に記載の内容がお分かりいただけたかと思います。
 
次回は、「宝石のお手入れ」についてご説明いたします。